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カジノの理想と現実

こんにちは!真梨絵です。  再開したばかりなのに、明日から木曜まで更新をお休みいたしますm(__)m次回は金曜日です。  ・・・・・・お互いに弾かれるように身体を離し、勢いのままリビングの端と端へ向かう。
その時、ラッド様が入ってきた。
「お土産だぞー…ん?」
アレク「…別に、何も」
マリー「ええ…いたっていつも通りです」
ラッド「ま、ふたりとも起きてたなら丁度良かった」
ラッド様は特に気にもせず、買って来てくれたチーズとパンで朝食にしようと誘ってくれた。
私は紅茶を淹れに、キッチンへ急ぐ。
(どうしよう…ますます、アレクの顔が見られないよ)

「…何なんだ、一体」
キッチンへ去ったマリーを見送り、アレクはひとり呟いてソファに座り直した。
その途端、床に落ちていた2枚のブランケットを見つけ、平静を装いつつ足でソファの下に押し込む。
「それにしても…マリーの様子がおかしかったが、本当に昨夜、何もなかったか?」
「…信用ねーな、俺も」
向かい側のソファに腰かけながら、ラッドがアレクを見据えた。
「不本意な真似をする気はないが…君は自分が何者か、忘れた訳じゃないだろう」
「…当然だ」
「君のことは信用してる。だが、少しでも歯車が狂えば…君が元の運命に引き戻される可能性があることは、否定できない」
「……」
「くれぐれも、俺の可愛い妹を巻き込むなよ」
「…妹?」
「…妹みたいに可愛い、マリーのことさ」
ラッドは誤魔化すようにただ笑って見せた。

アレクにどんな顔をして会えばいいのかと思っていたが、ブルーベルでいざ顔を合わせてみると、アレクはいつも通りだった。
(私ばっかり気にして、馬鹿みたい)
小さく息をつきつつ、注文の入った紅茶を用意する。
「アレク、用意出来たよ」
「おー」
カウンター越しにトレイを手渡した。
「ほんと、腕あげたな」
「…もしかして、褒めてくれてる?」
「悪いかよ。正直な感想だ」
「…ううん。悪くないよ」
「じゃ、次の注文の準備しとけ」
一瞬、温かな笑みがアレクの口元に浮かんだ。
私の頭をくしゃっと撫でてから、すぐに背を向ける。
その背中を見送りながら、顔が火照っていくのを感じた。
(やっぱり、この気持ちって……っ…だめだ、これ以上考えちゃ)
アレクには、気になる人がいると言っていた。
この気持ちは恋じゃない。
そう自分に言い聞かせて、私は誤魔化すように仕事に打ち込んだ。

その頃、ユアンがブルーベルを訪れていた。
「今日も混んでるな」
「…お前、また来たのか。ヒマなのか?」
「ヒマじゃないって、アレクはよく知ってるだろう。君に頼まれたものを持って来た」
「…!」
ユアンがおもむろに一通の招待状を差し出すと、アレクの顔色が変わる。
「悪いな」
「いや」
蜜蝋で固く閉じられた招待状をアレクが胸ポケットに収めると、ユアンがテーブルにつき、マリーに目を向けた。
「…そういえばアレク。舞踏会で出会ったレディには、再会できたのか?」
「あ?なんでそんな話になる」
「…ただの興味本位だ」
「彼女は…もう諦めた」
「諦めた?」
「ああ。今は…もっと、ほっとけないヤツがいるからな」
「アレク、それって…」
アレクの口元にかすかな笑みが浮かんだのをユアンは見逃さなかった。
「あ、悪い、注文だ。適当にやってろ」
残されたユアンは、ひとり呟く。
「…見てるこっちがまどろっこしいな」

その夜、ブルーべルから帰った私を、リビングでラッド様が待ち受けていた。
「お帰り、マリー。帰って来たばかりで悪いんだが…少し話があるんだが、いいか?」
やけに静かな声に、私も気持ちを引き締める。
「はい、お話を聞かせて下さい」
それから、私はラッド様の部屋へと向かった。
ドアを開いて中へ入ろうとした時…
「…何やってんだ、お前ら」
通りかかったアレクが、私たちを呼び止める。
(アレク…?)
「これからマリーと大事な話があるんだ」
「わざわざ部屋に連れ込んでか?」
(連れ込むって、そんな言い方…っ)
「…ああ、邪魔すんなよ」
(え?)
にっこり笑い、ラッド様は私の背中を押す。
アレクは怪訝そうな視線を一瞬送ったけれど、すぐに去って行った。
(あとで誤解だって、アレクにちゃんと話そう)
そこにハルさんもやって来て、さっそく本題に入る。
ハルさんは、蜜蝋で封をされた一通の手紙をラッド様へ差し出した。
それは、舞踏会の招待状だった。
その舞踏会が開かれる屋敷に、設計図をカジノに横流しした男が隠れていることが分かったそうだ。
「設計図がカジノのどこに隠されてるか、さっそく教えてもらいに行こうと思う」
ラッド様は笑顔を浮かべているけれど、鋭い瞳に獲物を狙う獣のような凄みが漂っている。
「マリーはラッド様と私と一緒に、舞踏会に出席してもらう」
レディをエスコートするという理由があれば、貴族社会では何をしても許される。
さらに、この舞踏会は、私のレディとしてのレッスンの正解を試す場でもあるそうだ。
「舞踏会のホストは、クロムウェル家と昔から懇意にしている貴族だ。内輪の集う舞踏会なら、多少の粗相も目をつむってもらえるだろう。ローガン様のカジノへ行く前の肩慣らし、とでも思っていればいい」
ハルさんの言葉に、いっそう不安を煽られた。
貴族の舞踏会で肩慣らしだなんて、ローガン様のカジノは一体どれだけすごい場所なんだろう。
舞踏会は明日の夜だ。
遠方のため、朝から出掛けることになる。
私は覚悟を決めて、返事をした。
「…分かりました」

ラッド様は気楽な笑顔を浮かべて、楽しもうと言ってくれた。
あのふたりと一緒なら、きっと大丈夫。
私は、私に出来ることをしよう。
そう考えながら、廊下を歩く。
ふと、ずっと気になっているあの人のことを思い出した。
敵側の貴族のようだったから、残念ながら、明日は会うことはないだろう。
バルコニーで聞いた甘い声の記憶を何となく呼び起こしてみる。
『今夜、あなたと出会ったことを…私は忘れられないでしょう』
(っ…!)
なぜか、声の記憶と同時に、アレクの顔が浮かぶ。
(私、本当に…変だ)

自室の前に着くと、ドアのそばにもたれて、アレクが立っていた。
「!…アレク…?」
「…お前、ラッドと何話してた?」
「そ、それは………っ」
言い淀んでいると、アレクが鋭い視線を向けてくる。
「お前まさかラッドに…貴族の問題に、巻き込まれてるんじゃねえだろうな」
(え…?)  4話終了!  お、アレクも招待状を手にしたようですね。そろそろ、舞踏会で出
会った相手がアレクとマリーだったと、お互いに分かるのでしょうか。  それではまた次回!

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